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桜島火山ニュース

第49回 桜島火山爆発総合防災訓練が実施されました!(VOL.2)

  • トピックス
  • 2019.01.21

 1914年に発生した桜島の大正噴火の起こった1月12日に合せ、今年も桜島火山爆発総合防災訓練が実施されました。
 桜島・錦江湾ジオパークの参加状況は、VOL.1で報告しましたが、VOL.2では、訓練の想定について説明します。

【訓練想定】

日 時 状 況 対 応
1月12日
              ~9時00分
午前5時頃から桜島島内の傾斜計で顕著な地殻変動を観測し、火山性地震も急増(※1)。午前8時50分までの12時間で、桜島付近を震源とするマグニチュード2以上の地震(※1)を10回以上観測。  
9時00分   【鹿児島地方気象台】
噴火警戒レベル4(準備情報)(※2)、警戒範囲は桜島全域を発表。
【鹿児島市】
桜島全島に避難準備・高齢者等避難開始(※3)を発令。避難準備及び高齢者や観光客等の避難の開始を発表。
~10時00分 桜島の山体膨張(※1)を示す急激な地殻変動は継続し、火山性地震はさらに増加。午前9時30分に桜島付近を震源とするマグニチュード5.2の地震が発生。  
10時00分   【鹿児島地方気象台】
午前10時00分に噴火警戒レベル5(避難)(※2)、警戒範囲は桜島全域を発表。
【鹿児島市】
桜島全島に避難指示(緊急)(※3)を発令。
10時00分頃 桜島の山腹から白い噴気が発生  
10時05分頃 桜島の西側山腹から噴火(※4)  
11時15分頃 桜島の東側山腹から噴火(※4)  
13時00分頃   ・桜島島内からの避難完了
・避難者を避難所(小中学校の体育館など)に収容
1月13日
2時00分過
桜島で爆発音を伴う激しい噴火開始  
7時00分頃 鹿児島湾を震源とするM7.1の地震(震度6強)が発生

(※1)噴火の前兆
 桜島の噴火を予測するため、島内などに傾斜計や地震計を設置して、地中のマグマの動きを観測しています。
 地中をマグマが動くと体に感じない地震や山体膨張(桜島下のマグマだまりのマグマが増えると桜島が膨らむ)が起こります。

(※2)噴火警戒レベルと防災対応
 火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標。2018年5月現在、41火山で運用。
【気象庁HP:噴火警戒レベルの説明】
【気象庁HP:桜島の噴火警戒レベルと防災対応】
【鹿児島市HP:現在の桜島の噴火警戒レベル】
(※3)避難情報の種類
 災害が発生、又は発生するおそれがある場合、市長が緊急度に応じて、避難情報を発令します。
 噴火警戒レベル4(準備情報)の場合は、「避難準備・高齢者等避難」で、避難の準備を開始するほか、高齢者や子ども、土地勘のない観光客など、一人で避難が難しい方は避難を開始します。
【鹿児島市HP:避難情報(避難準備情報・避難指示)の名称変更】

(※4)桜島の大規模噴火の特徴
 これまで桜島で大規模噴火が発生した場合、山頂からの噴火ではなく、対照的な二つの山腹から噴火が発生しています。大規模噴火の際の溶岩の流れ方を見ると分かります。(昭和噴火は含まれません。)
 桜島の下に大量のマグマが流入すると、いつも噴火しているマグマの通り道「火道」に入りきれなくなり、地盤の比較的やわらかい部分からマグマが出てくるからです。
 うまい棒の穴に、より大きなものを入れると、うまい棒が二つに裂ける感じですかね?

第49回 桜島火山爆発総合防災訓練(島外避難)が実施されました!(VOL.1)

  • トピックス
  • 2019.01.18

 50年近くも続いている桜島火山の爆発防災訓練(島外避難訓練)が先日実施され、桜島・錦江湾ジオパークも参加しましたので、報告します。
 今回の想定は、鹿児島気象台が平成31年1月12(土)午前10時00分に噴火警戒レベル5(避難)を発表し、警戒範囲を桜島全域としたことから、鹿児島市が、これを受けて、午前10時00分桜島全島に避難指示(緊急)を発令しました。
 訓練では、桜島では救難桜島フェリーが避難港(3ヶ所)を廻り、救難バスがバス避難時集合場所(2ヶ所)を廻り、救難船が避難港(1ヶ所)で、島民を安全に市街地に輸送する住民避難の訓練を行いました。
 また、市街地側では、長田中学校を会場とした展示訓練がありました。自衛隊・赤十字奉仕団による炊飯支援訓練(カレーの炊き出し)や仮設風呂の設置、避難所の地域住民による炊き出し、ドローンによる災害の状況調査や捜索訓練等がありました。
 ここ5年のうちに、これまで実施してきた島外避難訓練や残留者捜索訓練などに加え、炊き出しや避難所の運営など、避難してからの訓練が充実しているように感じます。
 それでは、桜島・錦江湾ジオパークが参加した訓練をご紹介します。

【桜島総合防災訓練・体験ツアー】
 避難指示に従い、赤生原港から長田中学校へ避難移動を行ったほか、桜島火山ハザードマップの解説や防災カードゲーム「詮議」の実施など、参加者が桜島火山噴火への備えと避難行動計画を実際に体験しながら学びました。
【紙食器づくり】
 災害時に有効な紙食器をつくり、炊飯支援訓練で提供される食糧を給仕しました。なお、器はチラシとポリエチレン袋を用いました。実際、炊き出し用のプラ皿容器が無くなった時、カレーを盛り紙食器の実用性が発揮されました。
【火山噴火降灰モデル実験】
 桜島の南岳が噴火し、麓の住宅地が降灰で埋まってしまうモデル実験をしました。実験は3回繰り返しました。特に、中学生の生徒達にもとても好評でした。

 

桜島火山爆発防災訓練(11月29日)に参加しました。

  • トピックス
  • 2018.11.30

 桜島で強い山頂火口の噴火がある場合、南岳山頂火口から3kmの範囲は大きな噴石が飛散するおそれがあるため、避難が必要になります。
 今回の訓練は、強い山頂火口の噴火のおそれがあることから、桜島の噴火警戒レベル(※1)が「4(避難準備)」に上がり、避難準備情報(※1)が出され、道路が落石や車両事故で通行止めになったことから、船を使用して、鹿児島市街地側に避難する想定で実施されました。
 避難が必要な地域内のホテルの宿泊客や、有村溶岩展望所にいる外国人を含む観光客の避難誘導や船を使用した避難について、検証しました。
 防災行政無線では、日本語・英語・中国語・韓国語で避難を呼びかける放送を行ったほか、有村溶岩展望所では、避難誘導責任者が4か国語で記載された紙を掲げて、避難を呼びかけました。
 また、鹿児島市救難所の船や、鹿児島海上保安部の巡視船「さつま」、巡視艇「さつかぜ」を使用した訓練を行いました。
 「さつま」の搭載艇で、沖に停泊している「さつま」に避難者を収容する訓練も行いました。
 桜島・錦江湾ジオパークからも、認定ジオガイドが参加し、有村溶岩展望所での避難の手順を確認しました。

 ※1 火山活動の状況に応じて「警戒が必要な範囲」と防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を、
     レベル1(活火山であることに留意)からレベル5(避難)の5段階に区分して発表する指標。
 ※2 避難の準備を促す情報であるが、1人で避難できない子どもや高齢者、観光客、外国人などは、
    避難が必要

シリーズ「桜島(火山)と温泉」~第2回 火山性温泉~

  • 桜島火山ニュース
  • 2018.11.08

(1) 火山分布と温泉分布  
 火山と温泉は非常に仲が良いようです。温泉がある所には火山があり、火山がある所には温泉があります。
 【図1】は、火山の分布と温泉の分布を比較したものです。よく一致していることが分かります。
 特に、火山が集中している地域は、九州中部・南部、東北地域、北海道地域ですが、有名な温泉地帯も同じ地域に存在しています。このことは、火山活動が温泉誕生に大きく関係していると言えます。

(2) 火山のマグマのガスと熱の影響を受けて温泉が誕生
 火山の真下の地下には、深さ10km程度の所にマグマが溜まったマグマだまりがあります。温度は1000℃を超えています。高温なので様々な物質・成分を融かし込んでいます。
  地下には地表と同じようにいたる所に断層や岩石の割れ目があります。マグマだまりから染み出た様々な成分を含むガスは、岩石の隙間を通って地下水に吸収されます。さらにマグマだまりの熱が地下水に伝わって水を温めます。
 その結果、様々な物質や成分を溶かし込んだ高温(100℃以上)の地下水が生成します。この地下水が岩石の隙間を通って、地表に水蒸気と熱水として噴出したものを温泉と言います。【図2】
 地下水に溶け込んだ物質の違いで温泉成分が異なり、温泉の効能も異なってきます。例えば、塩化物イオンが溶け込んだものを塩化物泉、炭酸水素イオンが溶け込んだものを炭酸水素塩泉といいます。鉄分が溶け込んだものを含鉄泉、硫黄が溶け込んだものを硫黄泉といいます。

   
【図1】                     【図2】

 新しい火山ができてから、温泉湧出に至るまで、おそらく数十万年~数百万年の時間がかかっていると思われます。気の遠くなるような時間とダイナックな地球の営みという壮大なドラマを通して、温泉は生まれてきたものです。温泉は私たち人間にとって、母なる地球の大きな贈り物と言っていいでしょう。

シリーズ「桜島(火山)と温泉」~第1回温泉とは。

  • 桜島火山ニュース
  • 2018.08.14

         夏こそ! 火山の恵み 温泉だ!
    大自然との一体感! 青い海と青い空を満喫して
        ミネラルたっぷりの海の温泉で、夏の疲れを癒そう!
             温泉って、いいですね! 

 今回は、4回シリーズで桜島・錦江湾ジオ・パーク内にある温泉についてご紹介いたします。
第1回目は「温泉とは」、第2回目は「火山と温泉」、第3回目は「桜島の温泉」、第4回目は「鹿児島市街地の温泉」の予定です。第1回目の「温泉とは」は、話が多少堅苦しいかもしれません。

1.【温泉とは?】
(1) まず、温泉の定義は
   温泉は法律で定義づけられています。(温泉法:昭和23年7月10日施行)      
  温泉とは、地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気、その他のガスであり、*①温度は25℃以上で、
  *②温泉1kgに対して、溶存物質(イオン)が一定以上溶け込んでいるものをいいます。

(2) 次に、温泉ができる条件は、
   地球科学的な観点での温泉の成立要件があります。
  ① 水源の存在  ② 熱源の存在  ③ 水(流体)の通路の存在 の 3条件です。

  ①  水源はほとんどが天水(降水)による地下水です。
  ②  熱源は浸透した天水(降水)を温める熱源の違いによって、「火山性温泉」「非火山性温泉」
    に分けられます。
   ア) 「火山性温泉」とは、火山地帯の地下10Km付近に存在する「マグマだまり(温度1000℃
     程度)」を熱源とする温泉です。
   イ) 「非火山性温泉」とは、地球の中心は6000℃の温度があり、地球内部から運ばれてくる熱
     を熱源とする温泉です。深さ100m毎に3℃上昇します。火山とは直接関係がありません。
  ③  水(流体)の通路の存在
    断層などによって土地の割れ目の岩石に、天水が浸透したり、地下の温水が上昇できる
    ような通路が形成されていなければいけません。

  以上の3条件を満たす場所に温泉が存在します。探査し、掘れば、温泉が湧く可能性が高いです。 
     *①  25℃以上のものを「温泉」といい、25℃未満のものを「冷鉱泉」といいます。
       さらに、25℃~34℃未満を「低温泉」、34℃~42℃未満を「温泉」、
                    42℃以上を「高温泉」といいます。
     *② 溶存物質(イオン) が1000mg/kg以上のものを「塩類泉」、1000mg/kg以下のものを                                     「単純温泉」といいます。また、溶け込んでいる陰イオンの種類によって、塩化物泉、
                   炭酸水素塩泉、硫酸塩泉と呼ばれています。

  次回は、「火山と温泉」の中で火山性温泉のメカニズムについて見てみます。

桜島の火山灰はどこに行く?

  • トピックス
  • 2018.06.20

 6月15日からの降灰で、鹿児島地方気象台が東郡元に移転してから、歴代2位の662g/㎡(6月16日観測)の降灰が観測されました。(1位は、2012年5月21日の733g/㎡)
 多量の降灰でうんざりされた方も多かったのではないでしょうか。
 雪のように解けて流れてくれればいいのですが、降灰は除去しなければ残ったままです。
 さて、降灰はどうやって集められて、どこに、行くのでしょうか。

○ 宅地の降灰について
 宅地内の降灰は、それぞれの家庭で収集し、克灰袋に入れ、降灰指定置場に出します。
 克灰袋より大きなレジ袋は収集できませんが、克灰袋より小さいレジ袋であれば2枚重ねで出されたものも収集しております。
 降灰指定置場(写真1)に出された克灰袋は、トラックに積み込まれ、回収されます。

○ 道路の降灰について
 道路の降灰は、路側線が見えづらくなり、降灰が巻き上がり歩行者及び車両の通行に支障がある場合に、国道は国土交通省が、県道は県が、市道は市が、除去しています。
 鹿児島市では、1回の噴火で積もった降灰を、3日以内に除去できるよう計画しています。
 降灰を除去する場所は、噴火時の風向きや現地確認を行って、降灰量の特に多い地域から重点的に除去作業を行い、隣接した地域へ順番に除去する区域を広げていきます。
 降灰除去の方法は、まず、ロードスイーパー(写真2)で降灰を掃きながら、吸い込みます。(※)
 次に、散水車が、吸い込み切れなかった降灰が舞い上がらないように、散水しながらついてきます。
 ロードスイーパーで吸い込んだ降灰は、後から来るトラックに積み込みます。

※ 最近は灰の粒子が細く巻き上がりやすいので、巻き上がりにくくするため、散水機能が付いたロードスイーパーがあったり、事前に散水車で降灰を湿らせ、巻き上がりにくくしてから、ロードスイーパーで吸い込む場合もあります。
 また、歩道などに使用する小型ロードスイーパー(写真3)もあります。

写真1

降灰指定置場
写真2

ロードスイーパー(大型3輪)
写真3

小型ロードスイーパー

○ 集められた降灰はどこに行くの?
 宅地の降灰も、道路の降灰も、トラックに積み込まれたものは、産業廃棄物処理場に運ばれ、最終的に埋め立てられます。

桜島の爆発が3年ぶりに100回を超えました。

  • トピックス
  • 2018.05.22

 2018年の桜島の爆発回数が、5月20日に、3年ぶりに100回を超えました。(2017年81回)
 今年のこれまでの桜島の爆発はすべて南岳山頂火口からのものです。
 南岳山頂火口は、昨年2017年11月に2012年12月以来約6年ぶりに爆発が観測されました。昨年11月頃から、
噴火・爆発ともに桜島の活動は、昭和火口から南岳山頂火口に移行しています。
 京都大学火山活動研究センターの井口正人教授が報道機関の取材に答えた内容によると、
「昭和火口については、昨年春から夏にかけて非常に活発な活動をしていて、溶岩を地下で火口の中にためるような活動をしていたが、それが昨年10月に入って急激に衰えてきた。溶岩そのものがふたをしたような状態になって、そして南岳の方に変わっていった。」とのことです。
 この南岳の活動によるマグマの量は、南岳が最も活発であった1970~80年代と比較してみると、当時の600万t/月に対し、現在は10~20万t/月であることから、桜島として高いレベルではないものの、桜島にマグマを供給している姶良カルデラのマグマの蓄積量は、2020年代には大正噴火が起こる前のレベルにほぼ戻ると考えられており警戒が必要であると言われています。
 なお、大正噴火級の大規模噴火が発生し、西向きの風の場合、市街地側でも約1mの降灰も想定されており、
鹿児島市では、大規模噴火に備えるため、大量の軽石や火山灰を想定した車両走行及び道路啓開作業検証実験を行い、市街地側の住民避難や道路啓開などの具体的な大量軽石火山灰対策マニュアルの策定などの取組みを進めています。


    黒神地区から望む桜島(今年4月)
手前が昭和火口で、噴煙は南岳山頂火口から出ています。

桜島の火山灰で病気にならないの?

  • 桜島火山ニュース
  • 2018.04.18

 桜島は、日常的に噴火しており、観光客など県外の方からは、火山灰が降ってきたときに、「病気にならないか?」とか、「マスクやゴーグルは必要ないか?」などのお問い合わせをいただくことがあります。
 桜島には、約4,000人の方が住んでいて、降灰(火山灰が降る事)があっても普通に生活しています。
鹿児島市街地も4月から9月頃までは、降灰が多い時期になりますが、降灰対策でマスクやゴーグルを着用している人はあまり見たことがありません。降灰があった時は、にわか雨と同じように、降灰が止むまで屋内で過ごす人がいます。
 桜島の周辺では日常的に降灰がある事から、鹿児島市では、昭和47年から平成20年まで、桜島降灰検診を実施し、「桜島降灰と直接関係があるとされるような特異的な疾病を、指摘することはできなかった。」との調査結果が出ています。
 また、鹿児島県においても、昭和53年から平成15年まで、周辺市町において、同様の検診を実施し、「急性一過性の症状は認められるものの、桜島降灰と直接因果関係があるとされるような疾病は指摘し得なかった。」との調査結果が出ています。
 桜島の降灰があっても、一時的に目のかゆみやくしゃみなどはありますが、慢性的な気管支炎やぜんそくなどの報告はありませんので、鹿児島にお越しの際は、心配せずに、桜島降灰を体験してみてはいかがでしょうか。

市街地降灰

シリーズ【大噴火に備えて】② もし大噴火が起こったら、どんなことが起きるのか?

  • 桜島火山ニュース
  • 2018.03.31

前回のコラムでは、大噴火の前には地震などの様々な前兆現象があること、しかし、正確な噴火の日時や、どのような噴火がどれくらい続くのかを予測するのが難しいことをお伝えしました。

今回は、もし大噴火が起こったら、どんなことが起きるのか?について解説したいと思います。

 

「大噴火」と言っても、地球規模で影響のあるとてつもなく規模の大きなものから(VEI=8)、いつもの桜島の噴火より少し規模が大きいもの(VEI=1)まで様々です。
今回は、約100年前(1914年)の大正の大噴火(VEI=4)を例に解説します。

ちなみに、現在の桜島の1回の噴火を1万円くらいと仮定すると、大正噴火は20億円くらいです。桁違いですよね。

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(※VEIとは火山爆発指数(Volcanic Explosivity Index)のことで、数字が一つ大きくなると、マグマの噴出量が10倍大きくなります。)

 

大正の大噴火は、高さ約2万メートルまで噴煙を上げる爆発的な噴火(プリニー式噴火)で始まりました。
飛行機の飛ぶ高さが約1万メートルですから、その2倍の高さまで噴煙が上がって、そこから軽石が降ってきたのです。
それも次から次に降ってくるわけですから、想像を絶する大惨事ですよね。
そんな噴火が約1日も続きました
桜島の黒神地区では、1日で2メートルも軽石が降り積もり、家や神社の鳥居が埋もれてしまっています。

ちなみに、2mmよりも小さい軽石は火山灰と呼ばれています。火山灰は軽いので風に乗って遠くまで流されます。
大正噴火のときの火山灰は、西風の影響で日本全国でも降り積もり、遠いところではロシアのカムチャッカ半島でも確認されています。

 

180331_02
 

大噴火が始まって8時間後、マグニチュード7.1の地震が起こりました。
鹿児島市街地では震度6の揺れがあり、家屋などの倒壊によって約30名の方が亡くなりました。
桜島で亡くなった方が約30名なので、鹿児島市街地の人的被害も同じくらい大きかったことが分かります。

ちなみに、この地震は、地下にあった大量のマグマが大噴火によって地表に出たため、地下の力のバランスが変わって地盤が動いた(割れた)ことによって発生したと考えられます。

 

180331_03
 

大噴火が始まって1日後、溶岩が流れ始めました
溶岩と聞くと、赤くてドロドロした液体が川のように流れる様子を想像する人も多いと思います。しかし、桜島ではそのような溶岩は一度も流れたことはありません。
昭和21年の溶岩流を見たという地元の人に聞くと、溶岩の厚さは30~40m、幅が200m以上あり、ほとんど固まったようなゴツゴツの岩山がカラカラと音を立てて崩れながら、少しずつ迫って来るような感じだったそうです。
また、溶岩の近くまで行ってタバコに火をつけて来たとか、家を解体して別の集落へ運んで建て直した、というエピソードが残っているそうです。
ちょっと信じられないかもしれませんが、そのくらいゆっくりとしたスピードだったのです。
ちなみに、桜島の海岸線付近まで到達するのに2~3週間かかっています。

 

 このように、大正噴火の場合は、爆発的な噴火で始まり、大規模な地震を伴いながら、最後に溶岩流が流れるという経過をたどっています。いつも同じパターンを繰り返すわけではありませんが、過去の噴火のことを知ることは大切なことだと思います。

シリーズ【大噴火に備えて】① 桜島はいつ大噴火する?

  • トピックス
  • 2017.12.01

今回から、シリーズ「大噴火に備えて」と題して数回にわたってコラムをお届けします。

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まずは「桜島は大噴火しますか?」という質問がよくあるので、お答えしたいと思います。

いつか必ず大噴火します。

ただし、それが何年後なのか、何百年後なのか、現在の火山学では予測することが難しいです。

 

しかし、大噴火は突然やってくるわけではないので、そんなに心配しすぎる必要はありません。
噴火の前には必ず前兆現象があります
噴火の規模が大きければ大きいほど前兆現象も大きいので、大噴火が起きそうなときには予想ができます。
一方、噴火の規模が小さければ前兆現象も小さいのですが、現在繰り返されている桜島の小規模な噴火であっても、かなりの確率で噴火が予想できています。
なぜなら、世界トップレベルの火山観測体制が整っているからです。

 

では、今のような観測体制が整っていなかった約100年前の大正噴火(1914年)の時はどうだったのでしょうか? 
実は、大噴火の前日には前兆現象として体に感じる地震がたくさん起きました。なんと1日で200回以上も!
さすがに「何かがおかしい」と思った住民は自主的に避難し、ほとんどの人が助かっています。
当時の桜島の人口は約2万人。
そのうち亡くなったり行方不明になったりしたのは約20人なので、住民の99.9%は助かったのです。

 

このように、大噴火の前には地震が何度も起こったりするほか、地割れ(地面の変化)、新しい噴気(ガス)、水の変化(井戸・潮位)など、様々な前兆現象が確認できます。
現在、気象庁や京都大学などが様々な火山観測をリアルタイムで行っているので、小さな変化も捉えることができています。
まるで病院の集中治療室で24時間体制の観察をされている感じです。

                                                          

ちなみに、現在の火山学では、正確な噴火の日時や、どのような噴火がどれくらい続くのかを予測することはできません
また、現在は、大正噴火の時代とは社会の様子がまるで違うので、現代社会ならではの災害やトラブルが発生する可能性もあります(電気、水道、通信、物流などのストップによる影響は現代社会では非常に大きいです)。

ですから、火山のことを良く知り、噴火の様子を想像し、どう対応すれば良いか事前に考えておくことはとても大切なのです

 

次回は、桜島の大噴火の特徴を紹介します。

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火山と人と自然のつながり 6つのストーリー
  • 地形・地質とのつながり
  • 自然とのつながり
  • 海とのつながり
  • 産業とのつながり
  • 歴史・文化とのつながり
  • 人とのつながり
  • 桜島・錦江湾ジオパークエリアガイド
  • 桜島のオキテ
  • ガイド情報
  • モデルコース