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月讀神社

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鹿児島県の桜島に鎮座する「月讀神社(つきよみじんじゃ)」は、島内でもっとも大きな神社です。祭神として月読命(ツクヨミノミコト)などを祀っており、桜島の玄関口であるフェリーターミナルのすぐ近くに位置しています。活火山である桜島において、この神社は単なる宗教施設にとどまらず、島が経験してきた自然史を今に伝える重要な建物です。

大噴火で埋没した旧月讀神社

月讀神社の歴史を紐解く上で不可避なのが、1914年(大正3年)に発生した「大正噴火」です。この未曾有の噴火により大量の溶岩が流出し、桜島の地形は大きく作り変えられました。かつて現在地から南へ2㎞ほどの今は無き旧赤水に位置していた旧月讀神社も、一帯の集落とともに迫りくる溶岩の下に完全に埋没するという甚大な被害を受けました。風景を一変させたこの大地の変化からしばらくして、住民たちの強い要望と努力により、1940年(昭和15年)に現在の場所へと再建されました。

山岳信仰の対象として共生しつづけた桜島の人々

桜島内に点在する神社はに共通点が存在します。それは、社殿の奥に鎮座する「御神体」が、すべて桜島の山頂方向へ向かって祀られているという点です。これは月讀神社においても例外ではありません。

この配置の理由は、島に暮らす人々が活火山に対して抱く強い畏敬の念にあります。常に噴火の脅威に晒されながらも、火山そのものを神と崇め、圧倒的な自然エネルギーと折り合いをつけるアニミズム(自然崇拝)の精神が根付いていることがわかります。火山を単なる脅威ではなく、畏るべき存在として受け入れることで、桜島の住民は独自の自然共生を確立してきました。

俳人・高濱虚子の句碑

境内の奥には、明治から昭和にかけて活躍した俳人・高濱虚子(たかはまきょし)の句碑が建立されています。碑には、1928年(昭和3年)に虚子が桜島を訪れた際に詠んだ「熔岩に秋風の吹きわたりけり」という句が刻まれています。

噴火の傷跡と自然の再生が交差する境内の静謐な雰囲気は、文学的な価値のみならず、訪れる者に火山の歴史の深さを強く実感させます。

火山との共生が生んだ暮らしの在り方

溶岩に埋没するという被害を乗り越えて再建された月讀神社は、桜島の住民が火山と共に暮らしてきた事実の証左です。大正噴火というダイナミックな大地の変化を経験しながらも、火山を神として祀り、畏敬の念を持ち続ける彼らの姿勢は、現代の私たちが直面する自然災害への向き合い方や自然共生のあり方を提示しています。火山噴火のダイナミクスを学ぶ上で、月讀神社は象徴的な場所と言えるでしょう。

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